Kraインタビュー! 3年ぶりとなるアルバム『新色の涙』リリース 

INTERVIEW

9月11日に結成22周年を迎えたKraのニューアルバム『新色の涙』は、景夕と結良それぞれの色が作曲に反映された、現在の彼らならではの作品。ヴォーカルとベースの二人体制でKraの世界をたっぷり楽しませてくれる。ぜひアルバムを聴いて、9月30日から始まるツアーへ足を運ぼう。

●アルバム発売は3年ぶりですね。コロナもありましたし、なかなか音源を出す状況ではなかったかと思いますが。
景夕:そうですね。前回『Dis WORLD』を出してから、コロナ禍でライヴが活動の中心になったのもありますし、メンバーが2人になってからはギターとドラムをどうするのかっていうのもありましたよね。だから、音源を作りたい気持ちはあったんですけど、なかなか踏み出せずにいて。それでようやくという感じです。

●結良さんとしても、あまり曲作りのモードではなかったですか。それとも曲作りはずっと続けてました?
結良:とりあえず曲は作らなきゃいけないと思って作ってはいたんですけど、やっぱりリリースみたいな目的とか目標がないと難しかったですね。

●このタイミングでアルバムを出すことを決めたのは、感染状況が落ち着いてきたから? それとも何かきっかけがあったんですか。
景夕:たぶんコロナが一番大きいですね。ライヴの予定も入ってきていたので、そろそろ作ろうかということになりました。

●ギターとドラムに関しては、サポートを入れてライヴを続けてきて、二人の体制に納得がいったようなところがあるんでしょうか。
景夕:欲を言えば、やっぱりメンバーは欲しいわけなんですけど、将来的にメンバーを入れるにしても、今は今しかないので。この二人でアルバムを出して、そこで思うところがあればメンバーの話はしていけばいいかなと思ってます。とりあえず一歩ずつ積み重ねてみようかということですよね。

●前作では、Rayflower・SOPHIAの都さんをプロデューサーに迎えられていましたが、今回は?
景夕:デモから仕上げていく過程で、ドラマーやギタリストは必要なんですよね。久しぶりの音源で曲数も多かったので、アレンジャーさんにお任せしようということになって、結良さんの知り合いの方にお願いしました。
結良:知り合いの楽器屋さんが主催したアーティスト飲み会で知り合った人で、ギタリストなんです。だから、編曲だけじゃなくて、ギターのレコーディングもしてもらって。1個の作品の中で同じギタリストが弾いてくれてるんで、一貫性が出るというか。アレンジもやってくれてるから、曲の雰囲気に合ったギターを弾いてくれるし、レコーディングをお願いできる方にアレンジを任せるのは一番近道だと思うんですよ。レコーディングはすごくスムーズにいけました。

●メンバーにギターがいない状態にしてはギターが前に出ている印象だったので、何となく納得です。作曲については、景夕さんの曲もありますね。
景夕:選曲段階から、収録曲は8曲と決めてたんですけど、選び切れなくて9曲残ったんです。その9曲のアレンジをお願いしたんですね。こういうテーマにしたいと思っていて、どうしても入れたい曲があったんですけど、歌詞を書いていく中でそれを次の作品に回すことになって。

●え? でも、選曲会に入る段階で、こういうアルバムにしたいというのがあったんですよね。
景夕:俺はありましたね。俺はあったけど、結良さんには伝えてなくて。

●それはあえて伝えてなかったんですか。
結良:いや、この人はね、報連相が得意じゃないんですよ。やりたいと言ってた曲が独特だったんですよね。そのコンセプトに合う曲はそれしかないぐらい、はっきりしたコンセプトだったんです。収録曲の中で言うと、「ハザマノマモノ」とか、「故に今」とかみたいな雰囲気なんですよ。

●具体的な世界観があるような。
景夕:もともと考えていたコンセプトで押し通そうと思ったんですけど、「Tiny town」とか「日常は非日常の中に」とかは、歌詞を書いているうちにコンセプトがちょっと合わないと思い始めて。それで、一番推していた曲を外せば、別のコンセプトでまとめられると思って、今回の8曲にしたんです。
結良:結果的に、アルバムを通して一貫したわかりやすい世界観がなかったから、そこからの作業がすごくスムーズに進んだんだと思うんです。全然スケジュールが押さなかったんですよ。

●世界観とかコンセプトがないほうがいいんですか。
結良:一つのテーマで8曲も歌詞を作るとなるとなかなか大変ですよね。全部違うテーマであれば全部違うことを書けるけど、8曲全部通しての物語を作るとか、共通するワードを使うとかになると難しいと思いますよね。そうじゃないからスムーズにいったのかなって。

●結良さんにとってはどうですか、一つ大きいコンセプトがあるのとないのとでは?
結良:作曲の段階ではコンセプトがあると苦労するんだろうと思うんですけど、作曲が終わってしまえば演奏の人たちには関係ないと思います。コンセプトがあると、曲ができる前は作曲者が大変で、曲が出来た後は作詞がすごい大変なんじゃないかな。だから、先に歌詞が全部出来ちゃえば、それに合わせて曲を作るしかなくなるんで、その苦労が逆転するんじゃないですかね。

●ロックバンドで歌詞が先というのはあまり聞かないですけど、そのほうが曲を作りやすそう?
結良:今回ね、プリプロが終わった後に、「英才教育」のメロディを作り直す機会があったんですね。プリプロが終わってるから歌詞が既にあるじゃないですか。その状態でメロディを作るのが楽しかったんです。制限がある方が、何もないところで作りやすいと思いました。

スムーズに制作が進んだのはコンセプトがなかったから…?

ロックバンド・Kraの景夕(ヴォーカル)

●アルバムタイトルはどういうところからつけたんですか。
景夕:『新色の涙』は、「世界征服を企む少女」の歌詞の中から取ったんです。2022年の9月11日の21周年ライヴのときに、「ブリキの旗」でファンの子からサプライズをしてもらって、すごく心が動いたんですよね。それが、自分の中で初めての感情だったというか。“どんな感情?”って言われても、大雑把に嬉しかったとか嬉し涙が出たとか、そういう感じでしか表現できないんですよ。それって、同じような立場で同じような涙を流したとしても、やっぱり人によって色が違うと思うんですよね。それと、曲調的にも幅広くていろんな色が入ってるアルバムだし、最近Kraを聴き始めてくれた人からしたら“こういう色なんだ”って感じるかもしれないし、昔から聴いてる人だと、“Kraのあれに近いよね”とか、受け取る印象や色が違ってくると思うんです。だから、自分の心持ちと人の心持ちで見える印象が違うという意味と、自分の受けた初めての感情を重ね合わせて、みんなにもそういう新しい良い出来事があるといいねっていう思いも込めて、このタイトルにしました。

●確かに、曲ごとに色が違うというか、色がはっきり違っていますよね。そこはアレンジャーさんに依頼するときも、曲ごとに違いを出していくようなところは意識したんですか。
景夕:作曲者が個別に言ってたりするかもしれないんですけど、俺は、曲の延長線のままアレンジしてもらおうと思ってました。

●もともと曲の色は、原曲のときからあったということ?
景夕:そうですね。「ハザマノマモノ」だったら、ちょっとスイング系で管楽器の音が鳴っててみたいなイメージがありました。メロディを主体にアレンジすると言ってくれていたので、それをしっかり進めていただいた感じです。「故に今」は、途中からテンポが速くなるところも原曲のままだし、俺的にはこれですっていう感じでしたね。

●結良さんの曲についてはいかがですか。
結良:曲によると思うんですけれども、基本的にはギターアレンジとドラムアレンジ、上物っていう、自分でできないところを丁寧に作り直していただいてます。曲の方向性を伝えて、もっとよくできると思うところがあれば全部やってくださいってお願いしたんですよ。だから、原曲とほぼほぼ変わってない曲もあればガラッと変わった曲もあったりしますね。

●原曲からガラッと変わったっていう曲でいうと、どの辺りの曲ですか。
結良:ガッツリ本当に変わったのは「三竦み」。もともとハードな感じではあったんですけど、ジャンルの違うハードというか、ギターロックの激しさではなくて、どっちかと言うともともとは4つ打ちのデジタルっぽい感じだったんです。

●「三竦み」と「英才教育」は、ギターの印象が強いですよね。
結良:そうですね。僕、ギターが好きなんです。ギターソロを聴くのも好きだし。だから、メンバーにギターいなくても、ギターソロはないと嫌なんです。「三竦み」に関しては、ギターソロまで指定して作りました。技術的に難しいことをするのではなくて、天才が思うがままに何も考えずに弾いたようなギターソロを弾いてくれって頼んだんです。メタルとかの難しいギターソロはちゃんと考えられて計算し尽くされてるじゃないですか。

●そういうテクニカルなものではなくて、もっと感性で弾いてほしいと。
結良:舞っちょ寄りな感じですよね。本能のまま弾いてくれって。だから、ライヴのときは毎回サポートによってギターソロが変わるという楽しみ方もできる曲ですね。だからCDとは違うかもしれないけど、それはそれを求めてるんですってちゃんと言っておきたいです。

8曲が奏でる、8つの新色

ロックバンド・Kraの結良(ベース)

●8曲並べて聴いてみると、それぞれ色はくっきりしているけれど、じっくり聴かせるバラードとか激しいノリとか、そこまで振り幅の差がない印象でした。
景夕:なかなかバラードは出てこないんですよね。今までを考えても、バラードですって主張できるような曲がないような気がしていて。人の曲を聴くと、いいバラードだなっていう感じはするんですけど、自分たちが作るとなると、すごく作るのが難しいようなイメージがありますね。この8曲で言うと、どれもKraっぽさの範疇ではあると思うんですよ。実はKraって、極端に激しい曲は苦手なんじゃないかな。ちょっとふんわりした部分があるほうが、Kraっぽいというか。極端に激しい曲とか端にバラードは、事務所を含めて特に望んではなかったかな、自分自身も。
結良:バラードでも激しい曲でも育ってないから、自分の根本にないし、きっと出てこないんですね。バンドを始める前までは、僕、ライヴに行ったことすらなかったし。そもそも別にうちに求められてないというか、激しい曲を作ろうと思えば作れるでしょうけど、あえてわざわざ作ることもないのかなっていう気はします。僕の中では、「色のない絵画」はバラードのイメージですしね、ちょっとテンポは速いですけど。

●私はミディアムだと感じたんですけど、アルバムの中の位置としては聴かせるところになっているわけですね。
景夕:全体的にさらっと聴ける曲が多いと思います。一曲一曲、例えばリズムを見ていくとノリやすかったりもするんですけど、ぱっと聴いたときの印象だとポップス感というか、そういった感じが強い曲が多いかな。その中で「Tiny town」みたいな、ちょっとシティポップっぽい感じの曲もあるから。たぶん今の2人の流行がこんな感じだったんだと思いますね。選曲会で、近い感じの方向性を感じたりしたので、お互いこういう感じのテンションだったのかなと思います。

●作曲者お二人のそれぞれの色もありますよね。
景夕:それはデモ段階でもあったと思いますね。俺はやっぱりちょっと変な曲の方が好きだから、そういう感じの曲を持っていくのが多いですし、結良さんはストレートな感じ。それは昔からですよね。曲作りの段階でそういう性格が出てます。

●お二人の曲を収録して、1枚のアルバムを完成させて、二人体制のKraならではの作品に仕上がった手応えはありますか。
景夕:それは感じてはいます。良くも悪くも、これが本当に今の二人でできるものだし、久しぶりのレコーディングで思ったようにいかない部分も多々あったので、この二人で、今までよりもっと短いスパンでどんどん作っていきたいなとも感じました。現状のKraは、ここで出せてるかなと思います。結良:僕は、昔と変わらないんで特にないですよ。

●自分の感覚として変わらないということですか。それとも作品としても特に変わってない?
結良:作品としても、要は他の作曲者がいないというだけで、それぐらいの違いですね。作品が出来上がっていく過程とか、やり方は変わらないですね。

アルバム収録曲を、これから10年聴ける曲に育てる。

●9月11日に22周年のライヴがあって、アルバム発売が13日です。その後にはツアーも控えています。新曲が8曲加わると、ライヴの雰囲気も変わってきそうですね。
景夕:8曲増えるのは、ちょっと久しぶりの経験ですよね。これは、あるあるだと思うんですけど、ライヴで新曲をやってみると、お客さんがノってくれるだろうと思ってた曲を、意外とみんなが聴くとか、たぶん誤算があると思うんですよね。だから、最初は手探りで演奏する部分はあると思うんです。ライヴでやっていく中で、セットリストの中の位置が決まっていくんじゃないかな。サポートメンバーが会場によって結構違うんで、いきなり変更は難しいかもしれないけど、曲順を変えたりとかはできるんじゃないかな。

●これだけのツアーに出るのも久しぶりな感じですか。
景夕:久しぶりですね。東名阪は行ってたけど、福岡は5年ぶりとかじゃないかな。楽しみにしてくれてると嬉しいです。
結良:ツアーといっても関東が多いんで、そこまでがっつり全国ツアー回りますっていうイメージではないんです。今回はコロナ明けなので、リハビリも兼ねてですね。目標としては、これからツアーごとに新しい場所を増やしていければいいなと思ってます。

●ライヴを重ねるごとに、アルバムの曲が育っていくのを楽しみにしています。
景夕:しっかりと育てて、また10年間、みんなライヴで聴きたいと思ってくれるような曲になってくれればいいなと思います。

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