TOUR『SHOCK WAIVE』をいい形で終えたWaive。
まずは、後半の大阪と名古屋公演を振り返るところからインタビューは始まり、
さらにこれからの活動について、現時点での考えを訊いた。
日本武道館というゴールが着実に近づきつつ、
まだまだできること、やるべきこと、やりたいことは、いろいろ…。
どんな動きを見せるのかしっかりと追いかけながら、
まずは6月29、30日の『浅草コンプレックスルート』へ足を運ぼう。
ちゃんとWaiveとしてステージに立った手応えあり
●前回の取材はツアー途中でしたが、ツアーを終えていかがですか。気持ちの変化があったのかな、とお見受けしているのですが。
「取材後の大阪と名古屋の2本のライヴをやって、メンバーと話せたのが結構デカいですね。取材で整理できたから、自分がバンドに対して思ってることとかを、特に大阪の楽屋で話せたんです。そこから自分も含めて全員がギアを入れられたというか。大阪と名古屋のライヴはかなり良かったと思うんですよね」
●具体的にはどんな話があったんですか。
「ライヴではフロアに対してどうであって、演奏はこうであるべきじゃないのみたいなことですよね。演奏についてもぐっと踏み込んだから、もちろん各々は悩むし、それをどこまで再現できたかは別ですけど、全員が熟練者だから、やれることはちゃんとやってくるし。できないことは急に切り替える必要がないというか、できないからって悩まないというか」
●いますぐにできることではないと判断できるわけですよね。
「そうそう。だからできることはかなりちゃんとやった気がする。即座に言われたことに対してみんなが反応した二本の気がするから、かなり良かったと思う。ファンにとってはどうかわからないけど、オンステージはWaiveがちゃんとライヴしているところに全員が入ったんじゃないかなと思うんです」
●それは、ライヴに向かう姿勢みたいなところが違っていたりするんですか。それとも何かもっとテクニカルな部分?
「たぶん両方なんだと思う。結果的にはどっちかというと精神面であったり、ライヴへの向き合い方だとは思うんですけど、我々は音楽をやっているから、その向き合い方をするにはどういう音が鳴ってないとダメとかがあるわけです。全員が耳の中(イヤモニ)で聴いているクリックを一回切ろうみたいな話ができるかはテクニカルな部分だけど、クリックを切ったことによってどう演奏するのかはメンタル的なところだと思うから、複合的な気がするんですよね」
●なるほど。
「めちゃくちゃ具体的な話で言うと、今回のツアーは「FAKE」が一曲目だったから、ドラムから始まるんですよ。康雄は右と左にハイハットを置いて叩いてるんで、右側のハイハットを右手で叩いて始まるんです」
●左にだけハイハットを置いて、右手と左手を交差させて叩いてないんですね。
「そう。右と左だと違うハイハットだから鳴り方が違うんです。僕は、「FAKE」の最初は乱暴な音が一曲目として正しいから、グシャッと鳴るほうの音にしてほしいと言ったら、逆では叩けないみたいなことを言われて。いやいやそんなこと絶対ないでしょって、ちょっとぶつかったりして。結局リハーサルで、田澤君が客席に降りて聴き比べて、当初希望したほうのハイハットがいいという結論が出たんです。お客さんがそんな聴き方をしてるわけがないし、何の影響になってる保証はないけれど、我々はそのグシャッて鳴ってるときのほうが、ライヴが始まった! みたいなテンションでいけるし、曲が呼んでるものがそっちなんだとしたら、そうしないと始まらないものがバンドなんだと僕は思う。だから、始まりのハイハットを変えたことによって、ライヴが始まった!っていうスイッチが入って、その後も影響がずっとあって、あのテンション感が作れたんだと思う。他にもいっぱいいろんなところがあって、結果、ライヴってこうであるべきじゃないのみたいなものは作っていけたかな」
新たなグッズ? 新キャラ誕生?
●前回の取材でお話していた新曲「アルティメットミラクルジャンプ」と「爆(読み方:ボム)」の曲順はどうだったんですか。
「変わらなかったかな(笑)。「アルティメットミラクルジャンプ」は、どんどん浸透していくし、それで変わってきたところもあれば、逆に言うと決まってくるところもあるけど、本当に正しく決まってるかどうかは我々としてもわかんない。まだリリースもしてないから、下手したら曲のアレンジも変わっちゃうかもしれないし。このままライヴで完成に持っていっていいんだろうかみたいな疑問は湧いた。名古屋は特にそれを思いながらやってました。昔はそれが当たり前だったけど、いつの間にかライヴで披露するときは決まった形じゃないとダメみたいなふうになってきてるのかな。果たして正しいことをやってるんだろうかみたいな、間違ってるまでではないんですけど、どうなんだろうなぐらいの軽い気持ちがあったかな」
●それは、ライヴでやってみて、別のアレンジが浮かんだりしたから?
「浮かんだとまでもちょっと言えないんですけど、大阪の楽屋で淳と2人で話してたんですね、メイクのとき。この間の取材で、「アルティメットミラクルジャンプ」ではずっと跳ぶのかみたいな話をしたから、“どう思ってる?”って話したら、“ええんちゃう”みたいな感じで。ただ僕は曲中ずっと跳ぶとは思ってなかったから、テンポが速いとかサビの回数が多いとか、そういうのがあるかと思って話してたんです。そこから話が進展して、例えばだけど皆んなでタオルを回すみたいな、グッズを使う曲をWaiveでもやるとしたら、「アルティメット〜」でやることも可能だよなって話になって。新しい曲でなら、そういう新しいこともやれると。彼はサポートの現場もやってるから、この現場ではこういうのがウケてるよとか、そういう話をしてた中で、別にタオルじゃなくて、それがうちわでも、僕のソロじゃないけどスリッパでも何でもいいんですけど、確かにWaiveではそういうことをやってないから、武道館のことを考えたら、壮観な景色が生まれるようなものがあってもいいかなと思ったんです」
●確かにそうですね。
「そういうことを楽屋で思ったりしたから、ステージ上でも考えてたんだと思う。あとは、グッズを増やしたいいたいな話もしましたね。バンドの終わりが決まってる状態になってから、このライヴでこういうことをしたとか、これを買ったとか、そういう思い出みたいなものを増やしたい気持ちが芽生えてるんです。ソロで、スリッパとか星型のペンライトとかをやったのも、今となってはいろんなところで見る光景になったけど、当時は少なくとも近しいシーンでは僕以外にやってなかったし、あれを持った人は思い出に残っただろうと思うんです。そういういうことをやったほうがいいかもなって」
●思い出とか記憶に残るグッズはいいですね。手元に残るから。
「アイテムを増やすとなると、鉄ぱいぷ君だけでは難しいものも出てくるし、キャラクターみたいなのをもっと増やしてもいいかもねみたいな意見も出たりして。できるできないは別として、こういうのもあるよねみたいな話が出たんです。話すとポジティブな話が出てくるんだなっていう感じではありますね」
Waiveの本気を見せるのに必要なこととは?
●前回、5月に全員で話し合いをしますみたいなこともおうかがいしましたけど、話せる範囲で、今後について言えることはあったりしますか。
「ん~、ここでいま話せるのは、「火花」は、LM.Cとメリーとのツーマンより前にリリースしたいから、5月中には完成させて、6月にはプロモーションを仕掛けられるようにしたいということかな。この先、ライヴをどうするかみたいな話が出て、ライヴの本数を増やすには…、みたいなことも話しました。まだ話せないこともあるから、それぐらいかな」
●たとえば、全国ツアーをするとか、そういうことはないんですか。
「ツアーは、やりたいけれど簡単なことじゃないですよね。例えば、いま東名阪ツアーをやって、会場の地元のファンだけが来ていることはないじゃないですか。遠くまで足を運んでくれたり、バンドと共に行脚してくれる人って動員の5%とか10%じゃないでしょう?」
●そのレベルではないでしょうね、もっと多い。
「そうなるとリーダーとして、費用対効果みたいなことを考えたときに、何も考えずにとりあえずツアー回っとくか! みたいなことは言えないですよね。特に活動の最終日が決まってる以上。僕だって、北から南まで挨拶に回りたい気持ちがないわけじゃないし、武道館に来てねっていう話はしたいし。極論で言うと、ライヴと関係なく個人で行って、道端でビラ配りしてでも構わないから、直接ファンの人に武道館に来てほしいと言うのは全然やぶさかじゃない。でもライヴで行くとなると、Waiveの規模だといろいろな難しさがある。生々しいことを言うべきタイミングじゃない気がするので詳細には述べないけれど、丁寧にわかりやすく説明できたら、東京から離れた地域の人たちにも理解してもらえる選択が多々あると思う。ツアーをやりたくないわけじゃないし、ライヴをやりたくないことは全くない。僕は、 “やってる感”がほしいだけで何も考えずにツアーをするのは違うと思うんですよ。僕らは、絶対的な目的として武道館の成功があるんだから、それのために考えて必要と思えることを上から順にやっていくべきなんです。やりたいでやるんじゃない、やるべきをやる」
●ツアーをしていると、外から見たときに“やってる感”が感じられるんじゃないですか。やってる本人たちにとってではなく。
「外で見てるだけの人からすると、どこでライヴをやってようが一緒でしょ。ライヴをやった事実だけはSNSとかでわかるかもしれないけど、それを見て、いちいち何処どこでやってるんだ~みたいに思う人は少ないと思うんです」
●私の見方がファンの方に近いかわからないんですけど、地方まで行っているか私は意識的に見てるし、行ってるほどアクティブだと感じるんですけどね。
「なるほどな。どうやったらアクティブに感じるの?っていう話だとすると、僕は、Waiveが過去にもやったことのある規模のツアーをすることよりも、たとえばだけどフェスに出るとか、テレビに出るとか、今までと違ったアプローチをして、Waiveってここにも出てくるんやみたいに感じさせることのほうが、よっぽどアクティブな気がしてるんですよ」
●それは、武道館に向けて?
「そうそうそう。既存のファンとか、Waiveのことは知ってるけどライヴには来てないグレーゾーンの人たちが、Waiveが動いてるんだ、いま本気で武道館に向かってるんだと思えることをするのが大事な気がする。それがまさにアクティブということだから、やってなかったことを試してきたんだな、みたいな印象を与えることを考えないと」
●それはすごくわかりますよ、Waiveがマジになってる、みたいな感じですよね。
「そうそう、そういうこと。そこが全てな気がしてる」
対バンライヴのWaiveの強さを見せたい
●6月のツーマン二本の後は、しばらくライヴはないということになりますか。
「そう。でも、ほかにもいろいろ考えてることはあるから。この間、ミニストップで買い物をしてたら、サディの曲が流れて来たんですよ。ぶっちゃけ間奏の間は誰かわからなかったけど、サビが流れたら、この曲知ってるぞ! って」
●「迷彩」ですかね。
「そうそう。サビを聴いて、ああって思って」
●当時、「迷彩」は本当によく演奏してましたからね。
「まさにそういう意味ではリマインドされるところがあって、以前の曲がたくさんの人の耳に届く機会をつくることは正しい選択かもなと思ったんですよね。そういうアプローチをして反応があるのかないのかはわからないですけどね。あとは、奇しくもDIR EN GREYとPIERROTの『ANDOROGYNOS』の発表があったりもしたし」
●やっぱりすごく話題になりましたよね。
「ああいうタイミングみたいに、以前聴いていたバンドをまた聴いてもらえる機会を作れればって思いますよね。大きい話題が投下されると、いい感じでザワッとするし」
●Waiveがザワッとさせていただきたいところですけど。では最後に、『浅草コンプレックスルート』に向けて意気込みを聞かせてください。
「僕ね、正直あんまりLM.Cを知らなくて、メンバーとの面識もほぼないんです。maya君と僕、会ったことないと思います。アイジさんも同じ事務所にいたけど、ほぼ喋ったことがないんですよね。誰が読んでいるかわからないし、文字にすると誤解が生じそうなので割愛しますが、当時いろいろありましてPIERROTの皆さんに僕は嫌われているんじゃないかな〜と感じてます(笑)」
●そうなんですね(苦笑)。
「田澤クンはいろいろと良くしていただいたみたいですし、淳はLM.Cのサポートをしてたこともあるから密な部分もあると思うんですけど、僕個人で言うとそんな感じです」
●メリーは?
「3日前にガラと会ったところですけど」
●seekさんも一緒に会われたそうですね。
「そうです。なぜかウチのスタジオに大量にあったポップコーンを持って帰ってもらいました(笑)。以前、ガラと僕は近所に住んでたことがあって、道端で遭遇したりしてたんですよ。でも、お互い積極的に会ったりはしておらず、ニアミスすることはあっても特に親しくなることはなくて。本人にも言ったことですけど、俺に限らず、seekのことも含めて、入口としては畳みかけるような関西弁で話す奴のこと苦手でしょって。たぶんガラと僕、似てるところがあるんですよ。こういう人は面倒くさいから近寄らないでおこうみたいに考えるところがあるし、そもそも陰キャだし。何か共鳴する部分があると思ってたので、話せたのはよかったです」
●これまで対バンしたことはあったんですか。
「2003年に、仙台と熊谷でツーマンしてます。ギターの結生君は、『OVER THE EDGE』で、逹瑯たちと一緒にステージに立ったりもしてるし、メリーとはね、接点があると言えばあるかな」
●どんな2マンの2デイズになりますかね。
「対バンライヴのWaiveは強いと僕は正直思ってます。若い頃は、THE ヴィジュアル系みたいなシーンを求めてる人らには刺さりにくいことをしている印象があっただろうけど、ある程度の年齢になってきて、今なら我々がやってることが届くと思ってるんですよ。特に今回は、LM.Cもメリーも音楽的にも幅広い活動をしてるタイプだし。だから、いつも通りというか、最低限のアベレージみたいなものを維持しさえすれば、ちゃんと伝わるかなと思ってます。気負わずにいきたいですね」
●メリーとLM.Cはバンドとしてはかなり違うと思うんですけど、対策というか、セットリストを変えたりみたいなことは考えてますか。
「いや、たぶん一緒でいくと思う。もしかしたら一曲だけ変えるとかはあるかもしれないけど、ガラッと変えたりはしないです。いま、Waiveを限られた曲数で見せるならコレでしょっていうセットリストでいく気がします。要するに、ヒット曲と言えばこれでしょっていうことですね。ヒットしてないからヒット曲ないけど(笑)。ひねくれたことはやらない気がしますね」
●セッションとかもないんですか?
「どうなんでしょ? 知らないです(笑)ただ、個人的には何か催しがあってもいいけど、セッションではないんじゃないかなと思います」
●そのライヴまでにもう一度取材があるんですけど、
「そうですね」
●それでライヴの当日に記事が出るので、すごく中途半端で申し訳ないです。
「そういうルールで始めちゃったし、しゃあないですね(笑)」