確実にライヴが変わった。
そう感じているファンは多いのではないだろうか。
最後のツアーを終え、残るライヴはもう両手で数えられるほど。
ここへ来て、これだけのライヴができているいま、
おそらく感じているであろう手応えについて、
そしてますます磨きがかかるMCについて聞いてみた。
迷いのない、確信に満ちた言葉が力強かった。
ひたすら一本一本のライヴを全力でやるだけ

●いよいよ、残りのライヴの数が一気に少なくなってきた印象があるというか。そんなことはないので変な表現ですけど。
「残りの本数が一桁になったし、ワンマンがなくなってきたからでしょうね」
●実際数えてしまうから、しみじみ思ってしまうんですよね。
「『LAST GIGS.』って言ってるツアーが終わったんだから、そりゃそうやろうっていう気がしますけどね。でも、まぁわかる」
●残された数を意識せざるをえなくなってきて、やはり変化は出てきていますか。
「『蒼紅一閃』までは、一本一本のライヴに反省が生じていた気がするんです。でも、『LAST GIGS.』以降は、ライヴに満足しているというのもあるけど、そんなことを言ってられなくなり出した。以前は一本終わっても、次はこうかな、みたいな話があったけど、いまはもう、とにかく一本一本、全員が全力でやって次も全力でやるだけ、そういうレベルになってる。少なくとも僕はそう感じているから、それが温度感として漂って、カウントダウン感が出ているのかなという気がちょっとしますね」
●バンド内全体としてはいかがですか。
「メンバーによって違う感じはしますけど、なんとなくの空気としてはあるかも。全体を見るのか自分のことを考えるのかなどそれぞれなので、一丸となってるのとは違う気がするけど、各々なりに向き合っているものがあるとは思う。少なくとも自分は、上手い下手とかの手前にあるバンドとはなんぞやっていうところをすごく考えている。たとえば貮方だと、自分にできることをちゃんと考えてるから、ライヴ当日は一番最初に入って早くにメイクを済ませて、リハが始まるまでずーっとギターを弾いてるし。リハが終わった後も、僕らが弁当を食べたりしてくっちゃべってる間も、あいつだけ違う部屋でギターを弾いてるから。彼はライヴ当日以外は練習できるスケジュールではないから、できることをやろうとしてるんだなっていうのは伝わってきていますね」

●そういうバンドの状態が反映するのか、本当に最近のライヴがいいですよね。
「僕もそう思う。個人的には『蒼紅一閃』の一番よかったライヴよりも『LAST GIGS.』のアベレージのほうが高いと思うから。かなりよくなってると思う」
●それは、メンバーさんの意識みたいなものはもちろん、お客さんも含めて、出来上がった結果ですよね。
「そうですね。それぞれにブーストされてる理由はあると思うんですけど、僕に関しては、『蒼紅一閃』のときは薬を控えるようにしていたけれど、逆に薬を飲みまくるように変えたんです」
●使えるだけ使っちゃう。
「そうそう。体には負担がかかりまくってると思うけど、痛みを感じないことを優先してる。そのせいで内臓がかなりダメージを受けているのは実感しているんですけど、ステージに関しては以前のパフォーマンスぐらいまでやれるようになってる。あとは、曲が体に入ってきた。これだけ毎週毎週ライヴがあると体が曲を覚えてくるんで、考えながら弾かなくてもよくなっていて。それもでっかいですね。ニノッチもそれはあるんじゃないですかね」
●ライヴを定期的にやっているのがいいんですね。
「そう思う。次のライヴまで一週間空くけど、それだとギリギリ覚えてるというか。それがでっかいな。この状況から考えると、もう不可能だけど武道館までずーっと毎週ライヴをやれるほうが自分的には助かる」
●いいコンディションを保てそう?
「うん。以前は、そんなに本数をやってしまったら、同じようなものしか見せられなくなって、武道館が退屈なものになっちゃうかもしれないと考えていたんですよ。でもいまは、ずーっとやり続けても、曲のポテンシャルをより引き出していける感覚があるから、武道館まで毎週やってもいいんじゃないの? みたいな無双モードに入ってきてる気がする」
このタイミングで「燦-sun-」が生まれたことの大きな意味

●今日の時点(10月22日)では、残るライヴはツーマンが二回、『MUD FRIENDS』、『CROSS ROAD Fest』とワンマンです。大きなイベントも控えていますが、Waiveを知らない人たちに何を見せればいいか、みたいなことをつかめている手応えはありますか。
「うん、手応えは確実にありますよね。ファンの年齢にバラつきはあれど、いまどきロックバンドを観にきている人たちの場合、その日が人生で初めてのライヴ鑑賞である可能性はかなり低いじゃないですか。ライヴに対する熟練度が高めというか、Waiveについては初心者でも、バンドのライヴの超初心者はかなり少ないと思うんですよ。そういうライヴ慣れしている人たちの舌は超えているから、ライヴにひとついい要素があっても、すでに観たことがあるっていう感想になりがちだと思うんです。ルックスがよかろうが、演奏がよかろうが、曲がよかろうが。これまでのWaiveはそれになりがちだった。でも、そういう要素が二個三個足されていったときに、これは観たことがないかもとか、そういう発見をさせられる可能性があるんです。いまのWaiveは、詞や曲がいい、歌が上手い、演奏も伴ってきた、 MC が面白い、みたいな要素が複数あって、それが出せるようになってきているんですね。以前は、全部がそろうライヴはなかなかなかったけど」
●ああ、どこかが欠けてしまう。
「確かにMCは おもろいかもしらんけど、演奏は下手やなとか、何かイチャモンがつけられるようなライヴになることが多かった。ルービックキューブの色がなかなかそろわないみたいな感じ。でもいまは、三面以上は毎回そろいますみたいなライヴなんです。その中でも見せないとダメなのは、ワンマンでは歌の上手さ。そこがすごく大事な気がする。でも対バンだと、MCが面白くないとダメな可能性が高いと思ってて、そこがきっちりできたのが、この二回のツーマン(FANTASTIC CIRCUS、lynch.とのツーマン)ですよね」
●Waiveのライヴとしてだけでなく、全体的にいい空気感でしたよね。
「「火花」とか「燦-sun-」っていう、このプロジェクトが始まって生まれた二曲が引っ張っていってるところもでっかいと思います。曲数が限られるときに、新しい二曲のおかげでバンド感とか演奏の上手さとかも伝わるし、対バンのファンも含めてみんなが好きなタイプの曲が増えたのかなって思うんです。それでいて「ガーリッシュマインド」みたいなわかりやすい鉄板曲もあるし、バラードも聴かせられるし、でもちゃんと「いつか」みたいな曲で終わることができる。そういうところがうまくハマってると思う。僕がさっき、このまま武道館まで毎週ライヴがあってもいいんじゃないかって言ったのも、「燦-sun-」が生まれたことが絶対にでっかいと思ってる。それは、曲のよさとかポテンシャルというよりは、このタイミングで、新しくて、かつ盛り上がる曲ができたということがすごく意味があるんです。もうあとライヴで数回しか聴けないかもしれない曲が、曲数の限られたセットリストに入ってくる曲であることが大きい。 それが、ルービックキューブの一面なんじゃないのかな。特にツーマンはアンコールのセッションで「ガーリッシュマインド」をやってるから、本編のセットリストには入れてないんですね。以前、MUCCとかとやったときは本編でも「ガーリッシュマインド」を短くやっていたけど、削れるようになったのはすごく意味があると思う。そういう細かいことがそろった結果が、いまのライヴなのかなという気がしますね」
●そういう意味では、どんな新曲を書くべきか考えに考えて、ライヴを意識して必要な曲をと考えて「燦-sun-」をつくったことは、ものすごく意味があったんですね。
「そうですね。もちろん本数とか時期の問題もあるけど、MUCC、LM.C、メリーとツーマンをやったときに「燦-sun-」みたいな曲があれば、あの段階でいまのポテンシャルに持ってこれていた可能性はあるし、そうであればさらにもう一段階進んで新曲ができていた可能性もあるのかな」
●あの時点ではそこまで見えてなかった?
「ん~、別に曲のことを否定するわけじゃなく、「アルティメットミラクルジャンプ」みたいな曲は、このサイクルの中では少し違ったなとは感じる。『THE SUN』の中に「アルティメット〜」が入ってたらEPとしてのバランスも悪いと思ったし。でも、あの曲をつくったことによって見えてきた世界が、「燦-sun-」を生ませたんだとは思うんです。 その曲が、これがないとハマらないというピースになったことで連鎖がバーッと起きて、いろんな部分がよくなったんじゃないかなと感じているんですよね」
謎に真面目に MCをやってます(笑)

●MCを期待されている空気感が確実に高まっているのかなと思うんですけど。
「そう思う」
●面白いことを言わないといけないプレッシャーみたいなのはあるんですか。
「ある、ある。めちゃくちゃある。ステージに出る直前までずっとそのことを考えてますもん。当日も、 MC のことに関してはナーバスになってる(苦笑)。演奏よりプレッシャーを感じてるかな。それに、MCについては珍しくメモに書いてます。超断片的にですけど、この単語でいこうみたいなことをメモしていて」
●え?、何かネタがあったときにメモっとくということですか?
「そうです。たとえばlynch.のメンバーがSNS でこういう発言をしていたとか。これまでは、MCは事前に考えてなかったですけどね。『LAST GIGS.』の途中ぐらいから考えてますね。特に、オバハンの話をした日から考えてる」
●オバハン発言が出たのは、いつでしたっけ?
「名古屋かな。だから、『LAST GIGS.』ツアーの二本目。あそこからライヴもよくなったと思うんですよ。あのライヴで、「燦-sun-」でタオルを回したり、ダブルアンコールで急遽もう一度「燦-sun-」をやったりして温度感が変わったから。その変化の一部として、オバハンの話も込みでMCに火がついたと思った。だから、期待させている以上はもっとやらないとって思うようになったから、謎に真面目に MCをやってます(笑)」
●実際ウケているというか、ちゃんとインパクトが残せていますよね。
「対バンは絶対にそこですよ。バンドとしての強みは歌もあるし、曲もあるし、演奏もあるし、ルックスもあるし、総合だと思うんですけど、その要素のトップにあるものは何? って言われたらMCだと思いますよ。それ以外のものはプロなんだから、できて当たり前と思われているから。だって武道館をやるアーティストなんだから」
●それはそうですね。そうなると意外性がある武器はMCだと。
「ライヴ後に券売が伸びている日の感想は、はっきりそこやもん。MCだけで変わるもんじゃないけど、プラス要素として考えたときに必要なものでしょって思うから。それは明確に感じてますね」
●券売に関しては、一日二十枚売りますと言ってからいかがでしょうか。
「今週は百枚ぐらい伸びたんですよ。lynch.の日も込みで。それでも平均すると一日二十枚には届いてない。lynch.とのツーマンは、ライヴ当日もそうだけど、それ以降でも伸びを感じますよね。それは、ν[NEU]と対バンしたときと一緒じゃないですか。lynch.も東京ガーデンシアターのライヴがあるから。そういう目指しているものがある者同士、波及し合ったというか、そんな感じはする。でも、玲央君には、“もう一段階ギア上げてください”って言われましたけどね。 “上がってるのもわかるし、前回よりも全然よくなってるなとは思ってますけど、僕の勝手な希望としてはもう一個か二個ギア入れてほしいです”って」
●さすが玲央さん。
「そう言われました、この間(苦笑)」
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●さて、今後の予定としては、ツーマンの後、『MUD FRIENDS』、『CROSS ROAD Fest』と続きます。演奏時間がさらに短くなるので、セットリストは悩ましいですね。
「マジでセットリストは悩む。それこそ MCも。対バンのファンがどこまでWaiveを認知してくれているのかもわからへんから。逆に言うと、新規の人たちがいるのは嬉しいですけどね。『CROSS ROAD Fest』の一日目に来るファンは『SWEET TRANCE』を知っている可能性が高いから、Waiveを知っている可能性も高いだろうけど、二日目に関してはどうかな。そこがちょっとわかんない」
●確かに。『MUD FRIENDS』はファンもおなじみの方が多いでしょうね。
「『MUD FRIENDS』は、どうやら全メンバーでのセッションがあるようで、SATOちが叩くみたいです」
●泥友がそろうわけですね。日本武道館のチケットを手売りするお話が出ていましたけど、どうなりそうですか。
「確実なのは、自分の誕生日の11月26日に恵比寿でやる予定です、暇なので。『CROSSROAD Fest』とか、ほかでも機会を見つけては売りたいと考えてはいるんですけど。ただ、あまり事前にこういうのを言うと通常の券売に影響が出そうなので、そういう機会じゃなくても買ってくれる人にはプレイガイドで買ってもらいたい。僕の行動は、もう一押しあれば買うのにって人や、そのタイミングの一期一会の人などへのアプローチになればと考えています」
●ファンがメンバーに会える日が限られているので、ライヴでなくてもそういう機会があるのはいいですね。
「12月22日と11月29日のワンマンの間が結構長いから、一本ライヴを入れられたほうがいろんな意味で助かるとは思ってるんですけどね。特にファンクラブ限定を一本足したほうがいい。12月のOSAKA MUSEがファンクラブ先行で売り切れてしまって、ファンクラブの人でも抽選がはずれた人もいるから。極論で言うとライヴじゃなくてトークイベントとかでも構わないから、一回でも多く接点を設けたほうがいいのにと個人的には強く思う。応援企画みたいなことをやってくれた人たちやSNSで熱心に布教してくれた人たちなどに直接ありがとうって言えたらと思っているんですけど」
●応援企画、すごいですよね。
「そうなんですよ。特に新しい予定が何も決まらんかったら、12月に道端で僕がチケットを売って、会える人にお礼を伝えるしかないかな」

